霞と側杖を食らう

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逃げるは恥だが、役に立つ

 時間に余裕ができて、ようやく『逃げるは恥だが、役に立つ』の視聴完走ができた。元ネタ盛り沢山のパロディを利用したドラマで、何かから引っ張ってきているのは演出から予想できるが元ネタが分からないものもいくつかあった。有り体に言ってしまえば、そういった引用をちりばめた月並みなドラマであり、もしも、新垣結衣でなかったら成立していなかったであろうなんていう評価もあった。そういう評価も一理あるが、結婚や労働のかたちを問うていて面白かったし、二人の恋の初々しさにどこか心揺さぶられる場面もあった。「可愛いは最強なんです。」、「可愛いの前では服従、全面降伏なんです!」なんてセリフを新垣結衣が言うのには笑ってしまった。なんて面倒な議論からは逃げてみる。

 「三十六計逃げるに如かず」と孫子は言う。「逃げちゃダメだ」と碇シンジは言う。そもそも、逃げるとは何なのか。現状に何か嫌なものがあって、そのものに背を向けてどこかへ離れて行くといったところか。嫌なものが自己とは別にある場合、逃げることは可能である。嫌なものが、その街にあるならば街から、都道府県から、国から出て行けばよいのだ。もっと遠くへ行けるなら、この地球から。U.F.O.の軌道に乗ってあなたと逃避行。嫌なものが自己と分離できないところにあるならば、自己を変えるか、それともこの世から出ていくことになる。

 1000文字も書くのは難しい。今回は、このへんで逃げさせてもらおう。

先ず隗より始めよ

 新しい年がやってきたので書き初めをしようと思う。書き初めで終わりにはせず、これから日々、1000文字程度の文章を書き残していこうと思う。なぜ1000文字程度にしようと決めたかと言うと、新聞の出す社説の文字数がだいたい900文字なのだと見たからだ。テーマも文体も真偽もクオリティも気にしない。はじめることは難しい。原研哉の『白』にあるように白に筆を入れるのは不可逆的な行為である。白の不可逆性が生み出した推敲という美意識がはじめる手を止めてしまう。そこで、この場においては、その美意識を取り払ってしまうことにした。

 そもそも、この1000文字チャレンジを開始しようとしたモチベーションは何か。それは圧倒的に文章を書く力が低下していることを実感したからだ。専門課程に入ってからは、140字の駄文を書き連ねる日々は過ごしてきたものの、長い文章を書いた経験があまり無い。文と文のつなぎ、段落の構成や大筋の流れを考える力が衰えている。文系だというのに、文章も書けない、数学もできない。中途半端なキメラ的存在になりさがってしまっている。弱小キメラ的存在からの脱出を図りたい。これが1000文字チャレンジの動機である。

 はじまりはいつも雨。始めるのはいつも難しい。慣性の法則は物理法則であるけれど、精神的にも適用できると昔から思っている。止まっている物体を動かすのに必要なエネルギーは動いている物体を動かし続けるのに必要なエネルギーより大きいのと同様に、勉強を始めるのは億劫で仕方がないけれど、始めてしまえば、けっして大変ではない。とりあえず、始めてみるということが肝要である。

 今年は酉年だ。生まれてから干支が二周してしまったようだ。昨年は、このままではダメなのだと思い知り(元から分かってはいたが)、再構築の契機を得た年であった。自分を一回バラバラにこわして、一から再構築を試みねばならない。三月のライオンのワンシーンである。今年は再構築して飛躍の年にしていきたいものだ。