霞と側杖を食らう

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権力を持った単細胞は怒らせるな

 親子丼ブームが個人的に来ている。夜は少し高級な焼鳥屋でもランチだと手ごろな価格で親子丼を提供しているお店は意外とある。そのようなお店を巡って親子丼を食べることにハマっている。店によって、使っているダシや卵、鶏肉が違うため、味が明確に違うのが分かって楽しい。そして、なんとなく健康的な気がする。そんな感じで親子丼を食べている。
 話は変わるが、先日、目黒シネマで『ギフテッド』を鑑賞してきた。ストーリーの構図自体は単純だった。天賦の才を引き伸ばす教育を是とするイブリンと、そのような教育を受けて育った姉の自殺を見て普通の教育を是とするフランクの間のメアリーの養育権を争う対立構図だ。才能をできるだけ引き出してあげたいというイブリンの気持ちも分かるし、普通に育ってくれればそれでいいというフランクの気持ちも分かる。自分に子どもができたとき、どうやって育てるのだろうかと考えたり、自分勝手に育ってきた自分に子どもを育てることができるのかと考えたりもした。また、自分は突出した才能があったとは思わないが、メアリーにも感情移入していた。代数学が理解できる頭で、簡単な足し算を課されるなんて苦痛でしかないだろう。学校に行きたくない気持ちも分かる。父親にも見放されたのに、信じていたフランクにまで見捨てられたら、辛いだろうと共感したりもした。一方で、突出した能力を持っていながらも傲慢になっていない点や上級生にも立ち向かう正義感がある点に驚いた。フランク自身は自分の教育の仕方に自信がなかったのかもしれないが、哲学の先生であるくらいの頭脳と姉の育ちを見てきた経験から、「良い」教育をしていたのだろう。加えて、近所のロバータと片目の飼い猫のフレッドも良い効果があったのだろう。メアリーはそういう意味で良い環境にあったように思う。そういった環境にないと、自分の中に閉じこもった方が楽だということに気付いて、閉じこもったまま育ってしまうのではないかと推測する。メアリーの可愛らしさに心打たれながら、そんなことを考えながら観ていた。気に入ったシーンとしては、スペシャルな朝食のシーンであるとか、おはようスティーブンソン先生のシーンとか、夕焼けのフランクとメアリーのシーンであるとか、枚挙に暇がない。台詞も含めて、そういうのが上手い監督なのだろう。
 どうも、親子モノに弱い。映画で言えば、『リアル・スティール』、アニメで言えば、『うさぎドロップ』あたりだ。心に傷を抱えた子どもが、その傷に痛みを感じながらも、生きていく話がよく刺さる。