霞と側杖を食らう

ほしいものです。なにかいただけるとしあわせです。[https://www.amazon.jp/hz/wishlist/ls/2EIEFTV4IKSIJ?ref_=wl_share]

I'm a fuckup and I'm nuts so she's gone

 カルロス・ゴーン金融商品取引法違反容疑で逮捕されたことが話題となっている。自動車産業というものは、徹底したシステマティックな分業を以てして発展してきた。そのシステムのうちの1つの代表的存在が逮捕された。何が起きているのかは詳細を知らないので、ここでは語らない。

 

 代表が分業において果たす役割は大きい。その役割は、まず指示、統率、鼓舞は自明だろう。もうひとつ代表には重要な役割がある。それは穢れた際の共同体の浄化だ。不祥事を起こした会社の社長などは辞任したり、ときには自殺したりする。ちなみに、伊坂幸太郎の『グラスホッパー』の鯨(人を自殺させるタイプの殺し屋。)は、不祥事を起こした会社だったか政党だったかのエラい人を自殺させる際に、自殺させることの意味についてこんなことを言っている。「大筋では、「これで許してやろうじゃないか」という暗黙の了解のようなものが広がる。生贄を差し出されると、理屈に合わなくても、それ以上責めるのが面倒くさくなる。」

 

 共同体における王権の特質のひとつには日常生活において堆積される脅威や災厄をひきうけ、それを祓う役割を負わされていることがある。王権というものは穢れの浄化装置らしい。災厄が起こった場合、その原因を王に帰し、王を殺害する、'王殺し'っていう習俗が未開の社会にはある。また偽王(モックキング)という制度もある。王権の浄化作用の役割を祝祭の場で王を演じる奴隷や捕虜、すなわち偽の王に肩代わりさせるシステムのこと。ここらへんの話は、今までの記事で何度か出てきた赤坂憲雄の『異人論序説』に書かれている。社長の自殺と王殺しはとても似ている。

 

 自分も代表的な立場を任された経験は何度かあるが、うまくその役割を果たせたと自信を持って言えはしない。指示、統率、鼓舞、浄化(浄化は場面として経験していない。)をやるときは、多くの要素を頭の中に抱えて、当然自分のことをこなしながら、実行していかないといけない。そういう器用な立ち振る舞いがまだできるだけの能力を持っていないのだろう。自分のことに集中して、パフォーマンスを上げることくらいしかできないケツの青い若造なのだ。いい加減、レベルアップしないといけい時期なのだろう。最近、『NARUTO』を読み返していて、キャラクターが成長していくのを見るにつれて、そう思った。

 

(2012年11月11日に書いたものを編集)