霞と側杖を食らう

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科学哲学とその周辺に関する学習記録

【学習動機】

科学哲学に関心があって、科学哲学の入門書を何冊か買って積んでいたが、読む時間がとれたので、読んでみた。加えて、直接的には科学哲学の本ではないが、関連していそうな本を読んで面白かったので、それらについて、ここに記録しておく。

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【学習内容】

科学哲学の入門書

・サミール・オカーシャ『哲学がわかる 科学哲学 新版』

哲学がわかる 科学哲学 新版 https://amzn.to/3PMO3xu

科学哲学に入門したくて、本文が160ページ程で少なめなので、一冊目として読んでみた。科学哲学関連でよく出てくるキーワードやテーマ(推論、説明、実在論、科学の変化)などがなんとなく把握できた。本文の後に、原著の読書案内に加えて、訳者による日本の読書案内があって次に繋げやすくて良かった。

戸田山和久『科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法をさぐる』

科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス) https://amzn.to/3vFh8nK

オカーシャの新版の入門書を読んだ後に、読んでみた。対話形式で書かれた科学哲学の入門書だが、著者は科学的実在論の立場で書いている。科学哲学の基礎概念を紹介した後、科学的実在論を導入し、その論の批判と、それに対する擁護を書いている。概念を整理できて良かった。最後の方で以前から個人的に関心があるモデルの話が少し出て来た。意味論をキーワードに追ってみるともう少し詳しく掘れそうだが、重たそうなので、それをするのはまたいつかにしておく。科学的実在論側以外の立場(反実在論と社会構成主義)から説明する書籍があったら読んでみたい。

伊勢田哲治疑似科学と科学の哲学』

疑似科学と科学の哲学 https://amzn.to/3U311tl

戸田山『科学哲学の冒険』を読んだ後に読んだ。科学と疑似科学をどう区別するかという問題(線引き問題、境界設定問題)を扱いながらも、科学哲学の入門本になっている。 哲学でよく出てくる分野の論理学、認識論、形而上学、価値理論(倫理学)に科学哲学の問題領域は渡っていて、それぞれの分野における論点を整理しつつ、創造科学、占星術超心理学代替医療などを例に評価しながら、線引き問題に対する答えを出している。著者による科学哲学日本語ブックガイド(https://tiseda.sakura.ne.jp/PofSbookguide.html)も公開されており、その後の学習の参考になりそう。

科学哲学の関連(してると思われる)本

・スティーヴン・シェイピンとサイモン・シャッファー 『リヴァイアサンと空気ポンプ―ホッブズ、ボイル、実験的生活―』

リヴァイアサンと空気ポンプ―ホッブズ、ボイル、実験的生活― https://amzn.to/3VM0GwE

実験により示されたことが正しいものとして認識されるのが普通になっているのはいつからなのか。そういう疑問があった学校の社会で学ぶところで、この本に出会った。ホッブズと理科で学ぶボイルが論争していたということで、つながるとは思わなかった。中身についてはこの記事(https://allreviews.jp/review/4894)が参考になる。 ボイルの実験による知識の生産様式が受け入れられていったのは、イギリスの王政復古期の政治的状況の要請に合っていたからとされている。科学社会学の流れが今どうなってるのか気になった。この本自体は分量が多いので、読むのは大変なので、もう少し軽くしたものに、追加でその後の流れが解説されている本があったら読んでみたいと思った。

・渡邉雅子『「論理的思考」の文化的基盤 4つの思考表現スタイル』

「論理的思考」の文化的基盤 4つの思考表現スタイル https://amzn.to/3vCYGMk

いのほた言語学チャンネルの動画で紹介されていて買ってみた。
それぞれちがう!アメリカ、フランス、イラン、日本の「論理」を比較!---渡邉雅子さん『「論理的思考」の文化的基盤』のご紹介・『納得の構造』も!【井上逸兵・堀田隆一英語学言語学チャンネル 第191回 】 - YouTube

教育原理の四類型に分けて、それぞれの代表としてアメリカ、フランス、イラン、日本の教育文化、思考表現スタイルを分析している。論理展開の仕方を作文や小論文の教育から、推論における因果や時間の解釈を歴史の教育から、その文化において何の能力に価値をおくかを大学入試から捉えていくアプローチを取っていて面白い。分類や分析の妥当性は自分には分からないが、各国の事例を見ているだけでも十分面白い。思考表現スタイルは裁判の国際比較にも何か出てくると思うし、研究もありそうだが、どうなのか気になった。

・マイケル・ワイスバーグ『科学とモデル―シミュレーションの哲学 入門―』

科学とモデル―シミュレーションの哲学 入門― https://amzn.to/3vO4r9Y

この本を読んだのは大分前だが、関係がありそうなので貼っておく。モデルを構造と解釈の組み合わせから成り立つとし、モデルの構造を具象モデル、数理モデル数値計算モデルの3種類に分類している。作者がシミュレーション寄りの人ではあるが、モデルとは何かを理解する一歩目になる。

野家啓一『物語の哲学』

物語の哲学 (岩波現代文庫 学術 139) https://amzn.to/3U72oYg

この本は物語に関して学んでいたときに読んでいた本だが、第五章の「物語と科学のあいだ」が科学と文学のグラデーションの話が書いてあって面白かったように思うので、メモのために貼っておく。

【学習予定】

科学哲学の各ジャンル 統計学の哲学や、因果、確率周りの哲学の本もいくつか積んでいるのだけど、まだ手をつけられなかった。時間が作れたら、それらの本を読んでまた記録したい。