霞と側杖を食らう

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美味しさの表現に関する学習記録

【学習動機】

料理やお酒に関心があり、この2,3年間、どのように表現すればいいのかを考えながら、関係する本などを読んでいた。日本酒については、日本酒検定3級を取ったときに記録を書いた。

moratoriamuo.hatenablog.com

日本酒の美味しさの表現については2年くらい記録をつけるようにしてきた。

美味しさを言語化しながらも、どう表現していいか分からなくなって困ることが多い。そういうわけで味の表現に関連する本を読んだりしていた。そういう経緯で、美味しさの表現に関して読んだ本などについて、ここに記録しておく。amazonのリンクを貼っているが、少し小銭稼ぎがしたいお年頃なので、アフィリエイトリンクを利用しています。

【学習内容】

・伏木亨『コクと旨味の秘密』

コクと旨味の秘密 (新潮新書) https://amzn.to/3wEYjAU

「コク」という表現は頻繫に聞くけれど、「コク」が何なのかよく分からないという人はいると思うし、実際に自分もよく分かっていなかった。この本では、「コク」の構造は多層的であるという。「コク」は三層構造で説明される。第一層は生命維持に必要な糖、油、ダシで説明される。第二層は第一層を色付ける、食感、香り、風味で説明される、学習によって得られた感覚で刺激されるものである。第三層は、実体のない精神性といったもので説明されている。「コク」というものは空間的、時間的、精神的な広がり、奥行きによる深みのある味と言えそうであるし、実際にそう感じる。この言語化を可能にした一冊だった。

玉村豊男『料理の四面体』

料理の四面体 (中公文庫) https://amzn.to/3UT7UOD

仏文学者が書いている料理の本。最初の半分は世界の料理の例示から始まるのだが、後半では、それらの世界の料理が一つの理論で位置付けられることを示す。その理論とは、どのような料理も、火、油、水、空気を頂点として成立する四面体のどこかの点に位置するとするものである。そのような切り口は斬新だし、実際にその四要素の加減で表現できそうだと実感する。新しい料理を考えるときに、その四要素の加減を変化したらどうなるかを考えてみれば、新しい領域に辿り着けるかもしれない。これが理論の強さである。

佐藤秀美『おいしさをつくる「熱」の科学―料理の加熱の「なぜ?」に答えるQ&A』

おいしさをつくる「熱」の科学―料理の加熱の「なぜ?」に答えるQ&A https://amzn.to/48uXcB9

Q&A形式の本。熱の伝わり方として対流、伝導、輻射、調理法として、ゆでる、煮る、焼く、炒める、煎る、オーブン焼き、直火焼きと始まる。温度帯や伝わる速度が、食材や使う器具によって適切なものが異なるということがよく分かる。麺を茹でるときのふきこぼれがどういう原理で起きるのかとか、二日目のカレーはどういう変化が起きているのかが個人的に印象的だった。料理は科学で、原理を知れば応用可能性が広がって、面白い。

・杉田浩一『「こつ」の科学―調理の疑問に答える』

「こつ」の科学―調理の疑問に答える https://amzn.to/49tWO7d

「熱」の科学よりは調理の仕方全般にわたる話が書かれている。レシピを読んで、なんとなく従っていることの理由が書かれていて、これまた面白い。

・伏木亨『味覚と嗜好のサイエンス』

味覚と嗜好のサイエンス [京大人気講義シリーズ] https://amzn.to/49tWPIj

『コクと旨味の秘密』の作者の著書。重なってくる部分もある。嗜好の構成要因は、①生理的な欲求が満たされるおいしさ、②食文化に合致したおいしさ、③情報がリードするおいしさ、④やみつきになる特定の食材が脳の報酬系を刺激する、としている。京大の講義を書き下ろしたものなのもあって、アラカルト的で読みやすい。

・チャールズ・スペンス『「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実』

「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実 https://amzn.to/49OfrCQ

イグノーベル賞を取った作者が書いている。その賞を取った研究は湿気ったポテチは、咀嚼音を拾って高周波のサクサク音を強調して返して音を流すと美味しく感じられるということを示している。
味というものが、舌の上で感じられる味覚だけでなく、他の感覚である視覚、聴覚、嗅覚、触覚に加え、雰囲気含めた情報に左右される。つまり、美味しさはあらゆる感覚に影響される。そのことの例示がたくさんある(示された例がどれくらい妥当なのかは分からないが)。音だとか香りだとか、食器の形や重さをはじめ、記憶や環境なども考慮して美味しさを考えている。ページは多いが、海外のレストラン等の例示が多いので、そのへんの名前を読み飛ばせば、意外とすぐに読み終えられる。

サンキュータツオ『国語辞典を食べ歩く』

国語辞典を食べ歩く https://amzn.to/3wrjYMV

岩波国語辞典、三省堂国語辞典新明解国語辞典明鏡国語辞典。小型の国語辞典で有名な四つの辞典で食べ物に関係する言葉を引き比べる。辞典によって、求める理想、思想が異なり、書き表し方が異なる。その違いを味わって読むのが面白い。

・瀬戸賢一(編集) 味ことば研究ラボラトリー(著) 『おいしい味の表現術』
おいしい味の表現術 (インターナショナル新書) https://amzn.to/3SOJfZb

味について言語表現から迫る本。各章を言語研究者が書いている。書いている人によってテーマが大きく異なり、マンガの分析もあったりして面白い。

・角直樹『おいしさの見える化 風味を伝えるマーケティング力』
おいしさの見える化 風味を伝えるマーケティングhttps://amzn.to/42WRIhp

おいしさの原理の説明と、おいしさの言語化の説明、マーケティングへの応用方法の説明がコンパクトにまとまっていて、良い一冊。マーケティングへの応用を目指す人向けの本だが、そうでない人にも役立つと思う。

・ゆる言語学ラジオの食レポシリーズ

言語学から考える食レポ。なぜソムリエは謎の語彙を使うのか?【食レポ1】#202 - YouTube

食べ物、飲み物の言語表現に関して参考になる。動画として面白い。

・板倉酒造の天穏の飲み方

天穏の飲み方 | 板倉酒造有限会社|島根県の酒蔵 天穏

天穏のページより引用している。このテイスティングの仕方の図解が分かりやすい。とく日本酒をどのように楽しんでみればいいかの参考になる。

【学習予定】

味覚表現について、まだまだ深いところへ行けていない。むしろ壁にぶち当たっているように思う。また何年かかかると思うが、どこか壁を壊すか越えられるようなことがあれば、また記録していきたい。