霞と側杖を食らう

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そんなあの子は透明少女

 『ペンギン・ハイウェイ』を見てきた。自分のなかにある記憶や物語やイメージがペンギンのように溢れだしてきて、たいへんな作品だった。溢れだしてきたものを思い出して、列挙してみる。順番は関係ない。『』すらつけない。輪るピングドラム、Highway chance、ポケモン、ハンマーセッション、セレビィ言の葉の庭サクラダリセット、コナン、君の名は、ぼくのなつやすみ宇宙よりも遠い場所、トトロ、GANTZ東京都美術館マリオサンシャインSHIROBAKO、雲のむこう約束の場所、千と千尋ハガレン夜は短し歩けよ乙女竹取物語ゼルダの伝説トワイライトプリンセスカリオストロの城化物語紅の豚エヴァあの日見た花の名前を僕達はまだ知らないトポロジー、ポニョ、25コ目の染色体思い出のマーニー時をかける少女、おーいでてこーい、いかにして問題をとくか。一通り、思い出せるだけでもこれくらいだろうか。

 少年の冒険はいつだって、心踊らされるテーマだ。ただし、この映画は、いつも出てくる無鉄砲で何も考えず突き進んでいく少年が主人公ではない。主人公は研究大好き少年なのだ。仮説を立て、調査し、実験し、観測し、仮説を検証する。複雑で難しいことは分割するし、理論として統合できることは統合する。問題点は冷静に反省し、次に活かしていく。そのような教育を父親から受けている。行き詰ったときは、一枚の紙に考えをまとめて書き、眺め、考え続ける、それでもダメなら、考えるのを一度やめてみるということすら教わっている。このような少年の冒険のストーリーは今まで一度も見たことがない。

 少年は大人ぶる。飲めないコーヒーを飲んで、背伸びをする。一方、自分は、あと半年もすれば、大人の仲間入りだ。モラトリアムの期間が終わろうとしている。最後の夏だ。平成最後の夏だと言われているが、人生最後の夏という気持ちで過ごしている。昨日より今日を、今日より明日を、より良く生きようという気持ちは少年と変わらない。

 以上で、触れなければならないはずの話に全く触れていない。そうだ、お姉さんだ。人類の永遠の謎だ。宇宙だ。母なる海だ。書きたいことを書くには理解と言葉と度胸が足りないので、ここでは触れたくないのだ。

 映画を見た後に購入したパンフレットにある森見登美彦へのインタビューによると、原作は少年時代の「原風景」を描いた作品だという。そこへの共感だろうか、強く引き込まれてしまって、心のなかに凝縮されていた何かが溢れだしたのだった。